"なかま"35周年同窓会(終了しました)

 

フェミニストセラピィなかまは今年35年を迎えます。

その間、なかまに関わってくださった皆様、なかまを支えてくださった皆様に深く感謝いたします。

 あれからどのように過ごしていらっしゃるのか気になりながらも時間がすぎていきました。この度、なかま同窓会を企画しました。四谷のいつものあの場所です。(四谷近辺は変わりましたが、なかまのある一角は昔のままです。)講座生だった方も相談でいらした方も、皆様の交流の機会になればいいかなと思っています。

 

日時:2015年1018日(日曜日)14:0016:00

場所:なかま(新宿区三栄町17 木原ビル302

参加費:無料 (お茶とお菓子を用意します。ご出席の方は事前にご連絡をお願いします。)

連絡先:03-3359-0902 (月~金)10:0017:00

 

では、お待ちしています。

2015年3月

 

 

"なかま"のこれから

“なかま”がスタートした35年前と今では社会も女性の生き方も大きく変化しました。 “なかま”がこれからも女性たちとともに歩んでいくために、今、何が必要なのかを“なかま”スタッフが率直に話し合いました。 


1.スタートは「女性の自立」「女性の自己実現」

 35年前、“なかま”がスタートした時には「女性の自立」や「自己実現」という、聞いているだけで気持ちが上がってくるような希望に向かって頑張っていた時代でした。もちろん女性のDV・虐待被害や貧困はその頃でもあって、“なかま”は、大変な状況下、自立や自己実現を目指して立ち上がる女性が集まってくる場所でした。また、日本で初めて女性による女性のためのカウンセリングを始めた“なかま”への社会の関心は高く、マスコミの取材を受けることも珍しくありませんでした。今は、ことさら“なかま”が注目を浴びるようなことはなくなりました。働く女性、伝統に縛られない女性が増え、ある意味、走り出した時の役目を終えたと言えるでしょう。

 

2.女性たちとのつながりを取り戻す

 時を経て“なかま”に求められる役割も変化しました。今は、行政からの委託を受けて男女共同参画センター/女性センターで、DV、虐待、性被害などの被害に遭われた女性の心理的サポートにあたる仕事が主たる業務になっています。女性による女性のためのカウンセリングの必要性や専門性が社会的に認知されるようになったことは、私たちの誇りです。女性の組織として経営も安定してきました。一方で、行政との協働がメインになったことで、スタッフの仕事場は外へ広がり、“なかま”はかつてのようにみんなが集う場ではなくなってしまいました。フェミニストカウンセリング独自のCR(意識覚醒)やAT(自己主張トレーニング)などのグループ活動も事実上休止状態です。今後、配偶者暴力相談支援センターの設置が進む中で“なかま”の役割はまた変化するでしょう。しかし、CRATの重要性は今も昔も変わりません。“なかま”の原点とも言える活動を再開し、自立や自己実現をめざす女性たちとのつながりを取り戻すことが今の私たちの課題の一つです。

 

3.若い世代と出会う「わくわく感」

 DVなど性暴力被害女性への支援は、営利を優先させる訳にはいかない仕事です。中には「持ち出し感」の伴う仕事もあります。女性が働いて対価を得るというのは、フェミニストがずっと主張してきたことですから、「持ち出し感」を巡って私たちはいつも葛藤しています。しかし、女性の支援は私たちのミッションですから今後も力を入れていくつもりです。

中でも私たちがとても希望をもって取り組んでいるものがあります。それは中学、高校、大学からの依頼を受け授業の時間にデートDV防止についての啓発を行うというものです。若い世代の男女の意識に働きかけることの意味は本当に大きいものです。私たちは35年もやってきているのに、男女共同参画の考え方がまだまだ社会に浸透していないという思いがあります。若い世代に上手く引き継げていないということにショックを受けることがしばしばあります。行政が費用を負担して区内の学校と連携して実施するプログラムに“なかま”が協力させていただく形が今のところ多いのですが、このような先駆的な取り組みがもっと広がると10年後、20年後の効果はどんなものだろうかとわくわくします。この「わくわく感」があれば「持ち出し感」などなんともないというのが“なかま”スタッフの一致した価値観です。

 

4.多様なパートナーとの協働

 セクシュアル・ハラスメントをはじめとして、パワー・ハラスメントやアカデミック・ハラスメント防止のための講演・講座は私たちの得意分野の一つです。このところ、ニーズが増えているという実感もあります。企業の社会的責任や法令順守が厳しく問われる今、労務管理上のリスクヘッジとして位置づけられているのです。社会の権力構造に男女差別や女性の人権侵害の原因を見出すジェンダー分析で、DVやセクシュアル・ハラスメントという概念をつくりだしてきたフェミニストカウンセリングが、女性だけでなく男性、障がい者、セクシュアル・マイノリティ、高齢者、外国人…など多様な人々の共生のために用いられるようになってきたのです。こうして、官民問わず様々な職場や大学との協働関係が今後も広がっていくこともわくわくすることの一つです。そのためには、私たちは今まで以上に「広報・営業活動」にも力を入れなくてはなりません。まずは講演・講座に特化したパンフレットを作成して、今まで会員ではあってもお付き合いしてこなかった地域の法人会にも顔を出してみようかと、話しているところです。しかし、パンフレットに「フェミニスト」や「ジェンダー」と謳うと、それだけでアレルギー反応(?)があるので、PRの仕方には工夫が必要かもしれません。

 

5.ふたたび「女性の自立」「女性の自己実現」へ

 子どもの貧困が社会問題となってから、ようやく女性の貧困が政策課題として取り上げられるようになりました。自立や自己実現を目指す女性への支援の必要性は今も35年前と変わりません。中高年女性の貧困リスクが一番高いということは、中高年女性が社会的にもっとも排除されやすい現実を示しています。そんな女性たちの現状の改善を目指して中年期女性を対象とした「フェミニスト・ライフキャリア・カウンセリング」のプログラム開発に取り組んでいるスタッフもいます。ご期待下さい。

今、私たちは岐路に立っています。思い出を振り返るのとは違い、これからのことを語り合うのは正直しんどいというのが今回の座談会の最初の空気でした。しかし、話してみるとやはり希望が見えてきます。“なかま”の歩みはいろいろと変化したようにも見えますが、一つ筋が通った道を歩んで来て、これからもこの道を歩き続けるのだと思います。かつて「女性の自立」「女性の自己実現」とは、仕事に就いて経済的に自立することと考えられていました。しかし、現実問題として、耐えがたい状況であっても夫と生きていく他ないという女性は今もたくさんいます。また、離婚が全ての人にとって正解とも限りません。女性たちが、辛い中でも自尊心をキープして生きていく道を見つけるのもある意味で「自立」ですし、自分をエンパワーしていくのも「自己実現」です。広い意味での自立や自己実現を女性たちとともに考える―“なかま”はそんな場であり続けたいと考えています。

                                                      (2015年4月)